日本の自動車業界における二大巨頭、本田と日産が2025年に合併することを正式に発表しました。トヨタとの差が拡大する中、この合併により新たな企業体が世界自動車グループのトップ3に入る可能性があります。
しかし、この動きの背後には、中国市場における日系自動車メーカーの苦境と苦悩が反映されており、日系車のかつての栄光が徐々に終わりを迎えていることを暗示しているかのようです。
本田と日産は長年にわたり、中国市場での大規模な販売に依存して、世界トップ10の地位を維持してきました。本田中国はかつて年間販売台数200万台に迫る勢いを見せ、中国市場は日産にとっても最大の単一市場でした。
しかし、中国自動車ブランドの台頭や消費者の嗜好の変化、とりわけ電動・スマートカー市場の急成長により、本田と日産は中国市場でこれまでにない挑戦に直面しています。
データによると、本田の2023年の世界販売台数は前年比6%増の398万台となりましたが、中国市場での販売は前年比10%減の123万台にとどまりました。さらに、2024年の最初の11か月間では販売が30%以上も急減しています。
一方、日産も厳しい状況にあります。2023年の世界販売台数は前年比5%増の337万台でしたが、中国市場での販売は前年比24%減の79万台となり、2年連続で100万台を突破することができませんでした。
中国市場では自主ブランドが急速に台頭し、電動・スマートカーが市場の主役となっています。本田と日産も電動車両を投入しているものの、市場のペースに追いつくことはできていません。
特に日産は、中国市場で「サニー(轩逸)」という1車種だけが辛うじて販売を支えている状況です。本田も専用のe:Nシリーズなどの電気自動車を積極的に展開していますが、低迷を挽回するには至っていません。
このような苦境に直面する中、本田と日産は合併を選択しました。
これは、資源の統合や規模の経済によって市場の課題に対応しようとする明確な意図と言えます。しかし、この合併が中国市場における日系車の運命を本当に救うことができるのかは未知数です。
新たな企業体はトヨタからの強大な圧力と、中国国内ブランドの激しい競争に直面することになります。電動・スマートカーの分野では、中国はすでに世界最大の市場であり、技術革新の中心地でもあります。
本田と日産がこの分野で成果を上げるためには、中国市場と深く融合し、技術革新や製品開発を加速する必要があります。
さらに、合併後の生産能力や研究開発の統合も大きな課題です。本田と日産はどちらも中国市場で過剰な生産能力を抱えています。合併後にこれらの資源をどのように効果的に統合し、無駄や重複を防ぐかが、新企業体にとって重要な課題となるでしょう。
中国市場にとって、本田と日産の合併は大きな影響をもたらさないかもしれません。中国の消費者はすでに自動車市場の変化に慣れており、自主ブランドの台頭により選択肢も増えています。
しかし、日系車にとって、この合併は重要な転換点です。これは、中国市場における日系車の輝かしい時代がすでに終焉を迎え、今後の道がさらに厳しくなることを示しています。
総じて、本田と日産の合併は、表面的には市場の課題に対応するための戦略的な一手に見えるかもしれませんが、その裏には日系車が中国市場で直面する苦境と無念さが映し出されています。
この合併が日系車の復活の起点となるのか、それとも単なる苦肉の策に過ぎないのか、時間がその答えを明らかにするでしょう。
しかし確かなことは、中国市場の変化と日系車の未来の行方は、今後も世界の自動車業界の注目の的であり続けるということです。